自己破産中の偏頗弁済は免責不許可事由となるが、状況次第で裁量免責が認められることも

自己破産中の偏頗弁済は免責不許可事由となるが、状況次第で裁量免責が認められることも

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2018.12.23

 
 
 
 

 
 
 
 

親しい相手や保証人がついている相手から借金をしていた人が自己破産した場合、知らず知らずのうちに偏頗(へんぱ)弁済をしてしまうことがあります。偏頗弁済は「すべての債権者に対して平等に返済すべき」という決まりに反する行為であり、免責不許可事由のひとつと見なされています。しかし、うっかり偏頗弁済してしまっても心がけや行動しだいで裁量免責が認められることもあります。

 
 

そもそも偏頗弁済とは

 
 

自己破産が必要な状態で複数の債権者に対して借金がある場合、すべての債権者に対して平等に返済しなければならないという決まりがあります。この決まりに反して、特定の債権者だけに偏って返済することを偏頗(へんぱ)弁済と呼びます。
 
 

たとえば親族・友人への借金や保証人がついている借金だけを優先して返済する、車などのローンを自己破産対象から外して支払いを継続するなどの行為が偏頗弁済に相当します。また、特定の債権者に責め立てられたからといってその債権者だけに多く返済してしまう行為も偏頗弁済と見なされます。この他、1万円以上滞納している携帯代や10万円以上滞納している家賃をまとめて支払うことも偏頗弁済に相当するケースがあります。

 
 

偏頗弁済は、免責不許可事由に該当する

 
 

自己破産手続きを行うと、裁判所から免責(債務者が本来負うべき借金返済義務が免除されること)を許可されることがあります。しかし特定の事由があると免責が許可されない場合があり、これらの事由を免責不許可事由と呼びます。偏頗弁済のほかにも、債権者に返済すべき財産をわざと隠匿・損壊したり他人に贈与したりする、破産手続きの開始を遅らせるために闇金業者などから非常に不利益な条件でお金を借り入れる、収入に見合わない額の買い物や賭博行為・株取引などを行うなどの行為が免責不許可事由に相当します。
 
 

偏頗弁済が認められると免責不許可事由とみなされるだけでなく、管財事件という手続きが必要になることがあります。管財事件の手続きはとても複雑なうえに、最低でも20万円の予納金を支払わなければならなくなります。
さらに破産管財人によって偏頗弁済が認められると、その返済がなかったことにされる(返済効果を否認される)ことがあります。債権者が受け取ったお金は破産管財人が一旦預かり、他の債権者への配当金として平等に返済されます。たとえ債権者に迷惑をかけたくないという善意からの返済だったとしても、偏頗弁済と見なされるとかえって大きな迷惑をかけてしまうことになります。

 
 
 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

 
 

偏頗弁済になっても、裁量免責が認められるケース

 
 
もし免責不許可事由があっても、裁判所がさまざまな事情を考慮して特別に免責を許可することを裁量免責といいます。悪意からではなく単に債権者に迷惑をかけたくないなどの理由で軽微な偏頗弁済を行った場合や、自己破産前に携帯代・家賃をある程度まとめて支払った場合などは、裁量免責が認められやすいでしょう。
 
 

これに対して、悪質な偏頗弁済(他の債権者に害を与えようという明らかな悪意が認められる偏頗弁済)の場合は裁量免責が認められにくくなるばかりか犯罪とみなされるケースもあります。また、偏頗弁済に加えて賭博行為などによって生じた借金額が非常に大きい、予納金を支払わない・破産管財人との面接呼び出しに応じない・嘘の申告をするなどして破産手続きに非協力的な態度をとる、破産手続き開始後の生活態度やお金の使い方に問題があり経済的更生の可能性が低いなどの重大な免責不許可事由がある場合も、裁量免責が認められにくくなります。

 
 

偏頗弁済は免責不許可事由に相当するが、悪意がなければ裁量免責で自己破産できる可能性あり

 
 

これから自己破産を考えている人は、ついやってしまいがちな偏頗弁済について知っておく必要があります。偏頗弁済は特定の債権者に対して優先的に返済する行為を指し、免責が認められなくなる免責不許可事由に相当します。しかし偏頗弁済の程度が軽微かつ悪意がないと認められ、なおかつ自己破産中の生活態度が良いと見なされれば、裁量免責が認められやすくなります。

 
 

 
 

 
 

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